イタリアのポンペイってどんなところ?古代都市観光のポイントは?

突然ですが、皆さんは「フニクリ・フニクラ」という曲を知っていますか?

曲名だとピンとこないかもしれませんが、実は日本でも替え歌として歌われています。

「鬼〜♪のパンツはいいパンツ、強いぞ、強いぞ〜♪」

あの曲です。

この曲は、ポンペイの都を一夜にして滅亡させた「ヴェスヴィオ山」の歌なんですよ。

ポンペイはナポリ州にある都市で、火山灰の下に埋もれていた古代遺跡です。

今回は「古代都市ポンペイの観光ポイント」をご紹介します。

古代都市ポンペイとは

南イタリア、ナポリにある「ポンペイ遺跡」は、海に面した古代ローマ時代の街です。

活気ある港町で地中海を中心に貿易をし、栄えました。

79年の8月24日、ヴェスヴィオ山の突然の大噴火で街は灰に覆われてしまいます。

その範囲、半径12kmに渡り、数メートルの灰に埋もれた街は18世紀になるまで発見されませんでした。

当時の状態をほぼ保った、1900年以上昔のポンペイを今でも見ることができるんですよ。

今も発掘中の遺跡ですが、現在発掘されているだけで44ヘクタールあります。

44ヘクタールって一体どのくらい大きいんですか？

そうですね…

東京ディズニーシーが49ヘクタール、東京ディズニーランドが51ヘクタールなので、それよりも少しだけ小さいと言えば想像しやすいと思います。

えっ！

そんなに広い遺跡なんですか？

しかも、まだ発掘されていないところもあるんですよ。

掘るたびに遺跡が出てくるので、ナポリの地下鉄網が整わないと言われているほどです。

ちなみに、同じイタリア内にある「バチカン市国」がちょうど44ヘクタールですよ。

かなり大きな都市だったんですね。

時間をかけてゆっくり見たい遺跡ですね！！

古代ローマの街が現在も残る理由は?

地中に埋もれた都市

3日間降り続けた灰に埋もれてしまった街ですが、火山灰と軽石のお陰できれいに保存されました。

空気に触れることなく1700年近く地中にあったため、建物だけではなく壁画や人までもが残っているのです。

小プリニウスの手紙

のちに政治家になった、小プリニウスが、当時の様子を手紙に書き残しています。

これは友人だった歴史家「タキトゥス」に送ったものですが、この手紙が貴重な資料となっています。

ポンペイの見所は?

何といっても当時の状態が残っているのが一番の見所です。

街には裁判所や議会、神殿、格闘上、劇場など公的機関や娯楽施設が一通り残っていて、当時としてはかなり大きな都市でした。

また、石畳の道路には馬車の轍の跡がくぼんでいて、流通が盛んだったことが分かります。

 マリーナ門

当時は、この門から500mくらいの距離に海があったため、マリーナ門と呼ばれていました。

整備はされているものの、保存状態もいいです。

アポロ神殿

「アポロ神」は当時の信仰の神でした。

中央の大理石の祭壇、周囲の石柱がとても美しい神殿です。

フォロ

フォロは、公共広場として使われていました。

街の中心地と考えられていて、周囲は神殿や法廷、市場などがあります。

フォロ浴場

イタリアで現代に受け継がれなかった文化、それが「お風呂」です。

古代ローマのポンペイでは、いくつもの大衆浴場が発掘されているんですよ。

フォロ浴場では、お風呂の他にサウナ、水風呂などの施設が残っています。

脱衣所もきちんとありますし、浴室の天井も蒸気からの水滴が頭に落ちてこないように水滴が伝う溝が彫られるなど、工夫されていました。

今の日本の浴場と同じようなものがローマ時代に存在していたのには驚きます。

日本に帰ってから「テルマエ・ロマエ」の映画を見ました。

2012年に公開された、阿部寛さん主演の映画です。

当時の雰囲気やイメージが湧くので、イタリアに行く前に見ることをオススメします。

また、興味があれば、1834年に書かれたエドワード・ブルワー＝リットンの「ポンペイ最後の日」という本も面白いですよ。

避難者の菜園

灰に埋もれたまま残った人の形に石こうを流し、亡くなった瞬間の姿をそのまま保存しています。

噴火の時の火砕流の温度は500度から600度とも言われていて、速度は100km/hを超えたと予測されています。

熱風が呼吸を困難にし、一瞬にして命を落とした人たちの石こうが見られます。

降り積もる灰の中、声を上げる間もなく亡くなった人たちがたくさんいたのだろうと思います。

保存されている人の中には、大きなお腹を抱えて口を手でおさえたまま倒れている女性、小さな子どもを抱きかかえたまま息絶えた女性がいたのが印象的でした。

また、カップルで手をつなぎ寄り添いあっている人たちもいます。

どの姿も苦しさを訴えていました。

私がポンペイを訪れたのは、雲仙普賢岳の噴火直後だったので、遠い国の昔の話とは思えませんでした。

秘儀荘

当時は禁止されていた「ディオニソス信仰」の儀式を行っていたと言われている場所です。

この儀式の様子が描かれたフレスコ画が残っていることから推測されています。

赤を基調とした大きく綺麗に残るミステリアスなフレスコ画で人気の場所です。

遺跡の見所の一つなので、ぜひ見逃さないようにしてくださいね。

また、「秘儀荘」はポンペイ遺跡の中心部からはかなり離れている場所にあります。

「ポンペイ」のツアーに参加する場合は「秘儀荘」がルートに入っていないこともありますので、確認してから申し込むと良いでしょう。

娼館

数多くの娼館があったうちの1つです。

言葉が通じない外国人でも利用できるように、サービスが壁画で描かれて今も残っています。

狭い場所なので順番に見学しましょう。

石造りのベッドのサイズは160cm弱程度で、当時の人々の身長はかなり小さかったと推測されます。

ヴィーナスの家

女神ヴィーナスとその子供のフレスコ画が残っている邸宅です。

フレスコ画も見事ですが、その保存状態がとてもいいことに驚きます。

こちらも見逃せない壁画です。

円形競技場

奴隷、捕虜たちの戦いなど、当時の市民の娯楽場でした。

当時はかなりの人気だったようで、ポンペイ遺跡内を歩いていると、塀に当時の人が書いた「人気剣闘士の戦いのシーン」の落書きなども残っていたりしていて面白いです。

この競技場は、10,000人以上入れるほど大きなもので、見ると圧倒されます。

客席だけでなく、舞台裏まで見られますよ。

発掘されたときに、剣士に混ざって、なんとも華やかな衣装に身を包んだ女性が発見されたそうです。

当時人気だった剣士に一目ぼれした令嬢が忍び込んだと言われているんですよ。

映画「ポンペイ」では、この話がモデルとして描かれているので、必見です。

ナポリからポンペイへの行き方は

ポンペイ周辺で大きな都市と言えば、ナポリです。

ここからポンペイに向かうには、電車がオススメです。

電車は2種類あります。

• Trenitalia（トレニタリア）

日本で言うJR線です。

ポンペイ駅下車から遺跡までは、10分ほどです。

• チルクムヴェスヴィアーナ鉄道（Circumvesuviana）

日本で「ヴェスヴィオ周遊鉄道」と呼ばれている、私鉄にあたる電車です。

トレニタリア線とは違う場所にポンペイ駅があり、こちらのポンペイ駅から遺跡までは徒歩2分です。

ただし、2つの駅から入れる遺跡入口は同じ入口ではないので注意してください。

2種類の電車はどちらも2.6ユーロで、40分くらいです。

僕のおすすめは車内が比較的安全に感じた「トレタリア線」です。

海沿いを走るので景色がきれいですよ。

電車を降りてから遺跡までは少し歩きますが、その途中には教会や美味しいジェラート屋さんがありました。

現在のポンペイの街を観光できたのも面白かったです。

併せて見たいナポリの街

エルコラーノ

ポンペイと同様、大噴火で滅びた街が他にもあります。

それが、「エルコラーノ」です。

リゾート地で別荘が多かったため、公共施設は少ない場所です。

また、道にもほとんど馬車の轍の跡がありません。

ここにも犠牲者の遺体がありますが、ポンペイとは異なり、白骨化しています。

ヴェスヴィオ周遊鉄道で行くことができます。

ナポリ国立考古学博物館

イタリアを代表する世界屈指の博物館です。

ギリシア、ローマ時代の美術品を見ることができます。

ハドリアヌス帝やカエサルの彫像、ポンペイとエルコラーノからの出土品などが展示されています。

建物自体も16世紀、騎兵隊宿舎だったものを、カルロ王がファルネーゼ家の財宝展示用に改装したものです。

そのため、建物自体も美術品のようで、2階には見事な宮殿風天井画が描かれています。

ポンペイコーナーでは、ミニチュア模型や、当時の様子を再現した模型などがあり、より詳しく歴史を見ることができますよ。

ただし、観光シーズンや時間帯によっては、入場チケットの購入にかなり並ぶことがあります。

事前に、ツアー会社などでチケットを予約しておくことをオススメします。

ポジリポの丘

「聖アントニオのテラス（Terrazza Sant’Antonio）」とも呼ばれるこの丘は、ナポリの絶景スポットです。

ナポリ湾、ヴェスヴィオ山と「ナポリ歴史地区」を一望することができます。

夜景もおすすめで、「世界三大夜景」の1つに数えられています。

「ナポリを見て死ね」という有名なことわざは、この絶景を指しているんですよ。

ガッレリア・ウンベルトⅠ世

商店街の名前です。

1890年に作られたアーケードは、ガラスで囲まれています。

一番高い中央部分は、58mもあり、ナポリを代表する美しい通りです。

近くに王宮や劇場などもあるので、併せて観光するといいですよ。

商店街には、カフェやジェラート屋さんが並んでいて、歩くだけでワクワクしました。

日本でもお馴染みの「マルゲリータ・ピザ」はナポリ発祥なんですよ。

もちろん美味しいピザ屋さんもたくさんあります。

美味しいピザとコーヒーを頂いて、デザートにジェラートを食べるのは最高に幸せでした。

まとめ

古代都市ポンペイとは

• 南イタリア、ナポリにある古代ローマ時代の街
• 活気ある港町で貿易が盛んだった
• ヴェスヴィオ山の大噴火で滅亡
• 18世紀になるまで発見されなかった
• 当時の状態をほぼ保っている
• 発掘された区域だけでも44ヘクタール

古代ローマの街が現在も残る理由は

• 火山灰と軽石が酸化を防いだため
• 建物はもちろん、壁画や人も残っている
• 小プリニウスの書いた手紙が貴重な資料となっている

遺跡の見所は

• マリーナ門
• アポロ神殿
• フォロ（広場）
• フォロ浴場
• 避難者の菜園
• 秘儀荘
• 娼館
• ヴィーナスの家
• 円形競技場

持参するといいものは

• 夏場は帽子など日よけになるもの
• 水分
• 雨のシーズンは雨具
• 滑りにくい靴

ナポリからポンペイに行くには

• 電車がおすすめ
• 路線は2種類
• Trenitalia（トレニタリア）
• チルクムヴェスヴィアーナ鉄道（Circumvesuviana）
• どちらも料金は2.6EUR
• どちらも所要時間は40分前後

併せて見たい観光地は

• エルコラーノ
• ヴェスヴィオ周遊鉄道で行ける
• ポンペイと同時に滅亡した街
• ナポリ国立考古学博物館
• イタリアを代表する世界屈指の博物館
• ポンペイの街のミニチュアや発掘されたものが展示されている
• ポジリポの丘
• ナポリの街を一望できる丘
• ガッレリア・ウンベルトⅠ世
• ナポリを代表する商店街（アーケード）
• 周辺にも観光名所がある
• ナポリ発祥のマルゲリータピザがおすすめ

ポンペイを訪れる前に見たい映画や本は

• テルマエ・ロマエ（邦画・2012年公開）
• ポンペイ最後の日（本）
• ポンペイ（アメリカ映画・2014年公開）

今回は「古代都市ポンペイの観光ポイント」をご紹介しましたが、いかがでしたか？

古代ローマ時代の生活を想像しながら歩くのは楽しいですよ。

今回の記事を参考に、ぜひポンペイを楽しんでくださいね。